老人ホームと呼ばれる施設をおおまかに分けると、公的老人ホームと有料老人ホームに分かれます。公的老人ホームとは、公的機関が運営する老人ホームのことです。それに対して、有料老人ホームとは、民間企業や団体が運営する老人ホームを指します。有料老人ホームは少し前は、お金持ちの老人のための施設というイメージがありましたが、2000年より介護保険制度からの給付が行われたことにより、入所しやすく、身近なものになってきました。
有料老人ホームでは、入居した老人の方々が快適に暮らせるように、食事や掃除などの日常生活上必要な事の支援や、介護サービスを受けることのできる施設で、介護福祉施設とは違います。また、有料老人ホームの定義というものがあり、「10人以上の老人を入居させ、食事の提供その他の日常生活上必要な便宜を供与することを目的とする施設で老人福祉施設でないもの」とされていましたが、2006年4月に大きく変わりました。
まず、10人以上という人数の制限はなくなりました。例えば、1人の施設でも老人ホーム扱いになります。サービスについても、食事の提供、入浴・排泄または食事の介護、掃除・洗濯等の家事、健康管理のいずれかを提供していれば、有料老人ホームとなります。サービスを他に委託して提供する場合も含みます。有料老人ホームは健康型有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、介護型有料老人ホームの3タイプに分かれます。
有料老人ホームの種類は、「健康型有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「介護付有料老人ホーム」の3タイプに分かれます。3タイプの違いは、食事などサービスは受けることができますが、介護が必要になったときの対応が変わってきます。
●健康型有料老人ホーム
自立した高齢者を対象にしたホームです。趣味活動やレクリエーションが充実したホームもあります。介護が必要になった場合、そのまま住み続けることはできず、退去しなければなりません。老人ホームによっては、併設していたり、提携している介護付有料老人ホームへ転居できる場合もあります。
●住宅型有料老人ホーム
介護のサービスは提供していませんが、要介護になった場合、外部の介護サービスを受けながら、住み続けることができます。最近では、老人ホームと同敷地内や近隣にサービス事業所を置き、サービス提供をしている所もあるようです。
●介護付有料老人ホーム
介護をすることを前提としており、そのためのスタッフや体制が整っています。入居者が要介護の状態になっても、そのまま入居し続けることができます。ホームによってサービスの内容が違いますが、介護スタッフが24時間常駐しているので、ささいな事でも対応してもらえる環境です。
また、介護付有料老人ホームの中に「外部サービス利用型」というのがあります。これは、介護サービス自体は外部の介護サービス事業者に委託しますが、介護サービス計画は老人ホームのスタッフが立て、サービスの提供が適切にされているかも老人ホームのスタッフが管理をします。住居型有料老人ホームと似ていますが、サービス提供の計画・管理を老人ホームのスタッフが行っている点が違います。
有料老人ホームへ入居する場合、どのホームにも入居ができるわけではありません。有料老人ホームの種類や、老人ホームごとの入居条件があります。有料老人ホームへの入居条件に、入居時の健康状態があります。大きく分けて、「自立」しているか「要介護」かになります。自立している人のみや要介護の人のみ入居可能な老人ホームの他に、要介護や要支援の人のみ入居が可能だったり、自立・要支援・要介護どの状態でも入居可能な老人ホームもあります。
有料老人ホーム入居時に要介護状態ではない人、つまり、自立して健康な人のみが入居できるのは、健康型有料老人ホームに当たります。住宅型有料老人ホームは、入居時に自立していることを条件にしている有料老人ホームが多いのですが、要支援や要介護の状態でも入居できる有料老人ホームもあります。介護付有料老人ホームには、入居条件により「介護専用型」と「混合型」があります。介護専用型には、要介護1以上の人のみ入居が可能です。混合型は要介護の人だけではなく、要支援や自立している人も入居できます。また、外部サービス利用型介護付有料老人ホームは、自立の人も要介護の人も入居できる混合型のみになり、介護専用型はありません。入居条件は入居時の健康状態だけではなく、施設によっては年齢制限などを設けている場合もありますので、確認が必要です。
有料老人ホームでかかる費用は、大きく「入居金・入居一時金」と「月額利用料」に分類されています。
●入居・入居一時金
入居・入居一時金とは、入居の際に必要になる費用のことです。老人ホームの建設に対し、公的な補助はないので、入居一時金で対応しています。入居一時金の内訳は、家賃の前払い分や終身利用権の取得費用が含まれます。終身利用権とは、入居中、施設を利用できる権利のことです。入居一時金は、老人ホームを退去した時に全額返金されるものではありません。一定の年数で償却されます。
●月額利用料
月額利用料には、家賃、管理費、食事費、水道光熱費などが含まれます。管理費には、共用施設の維持管理費等が入っているので、共用施設が豪華な老人ホームは管理費が高くなります。毎月支払う費用は月額利用料の他に、入院や通院、介護消耗品などの健康に関係する費用、日用品や理美容、電話代、趣味活動などの生活や娯楽に関する費用などがあり、利用に応じて、徴収されます。
最近では、入居・入居一時金が低金額設定や不要というホームも増えてきていますが、その代わりに、月額利用料が高く設定されているのが一般的です。有料老人ホームの具体的な費用については、施設ごとに、大きな幅があります。予算とサービスと照らし合わせ、慎重に選んでいく必要があります。
有料老人ホームでの生活は、共同で行動する時間が多くなります。居室については、個室や夫婦部屋が主流となっています。部屋にトイレや、洗面所がついている場合もあります。生活の流れは、施設によって違いますが、おおまかに、起床→朝食→自由・レクリエーション→昼食→自由・レクリエーション→おやつ→夕食→就寝です。また、一日を通して、排泄介助や入浴が行われます。自立している人は、ほとんど自分の力で生活しますが、要介助・要介護の場合は、スタッフがお世話をします。
食事は共用のスペースや食堂でみんなと一緒に取ります。食事の後は、入居者同士でお話をしたり、自分の部屋に戻り休憩したり、自由に過ごします。老人ホームでの生活での楽しみのひとつであるレクリエーションは、多くの老人ホームで午前と午後に1回ずつ行ないます。季節ごとのイベントや外部のボランティアによるミニコンサートなどを催すホームもあります。入浴は個別に入る個浴と大勢で入れる大浴槽と機械槽の3タイプが一般的です。自立の人でも、スタッフが見守る中で、入浴を行います。入浴回数は週2~3回というところが多いようです。排泄介助は、呼び出しがあった場合の他に、起床時や入浴前、夕食前など時間を決めて介助を行います。
老人ホームで生活している中で、入居者個人の意思の尊重するという考え方のホームが多いようです。入居者の要望でスタッフ同行で外出したり、また、自立の人はひとりで買い物や散歩に出掛けることもあります。
有料老人ホームではいろいろなサービスがあります。毎日暮らすことになる老人ホームのサービス内容や質を確かめることは、とても大切です。有料老人ホームのサービスには、介護サービス、食事サービス、生活に関するサービス、リハビリや健康管理のサービスなどがあります。
●介護サービス
介護サービスとは、入浴や排泄介助の他に、着替えやみだしなみの介助なども含まれます。介護付有料老人ホームでは、食事や入浴や排泄の介助を要介護度に応じて提供します。
●食事サービス
有料老人ホームでは、栄養士が管理した食事を食べることができます。最近では、複数のメニューから食べたいものを選べたり、季節を感じられる食材を使ったり、施設ごとにさまざまな工夫がされています。また、刻み食やミキサー食などの介護食についても、柔軟に対応できる老人ホームもあります。
●生活に関するサービス
生活に関するサービスには、洗濯・掃除などの家事やシーツ交換、郵便物や宅配便の受付や管理、買い物の代行や送迎などがあります。掃除は衛生面にも影響が出てくるので、とても大切です。
●リハビリや健康管理のサービス
リハビリは専門のスタッフが常駐している場合と外部の専門スタッフが来る場合と外部のリハビリの場所へ出向く場合とさまざまです。また、定期的に健康診断を行ったり、万が一のことを考えて、病院と提携し、入居者の健康管理を行います。
●その他のサービス
その他のサービスとして、イベントや趣味サークルの活動があります。活動が活発なホームもあり、老人ホームで楽しく暮らすことができ、活気が出ます。
有料老人ホームの設備は、施設によって、最低限のものだけ揃っている場合から、ホテルのように豪華なものまでさまざです。有料老人ホームの設備で、介護に関する設備はとても重要です。介護に関する設備は、座浴・機会浴などの介護用の浴室、介護浴室、リハビリルーム、エレベーターなどです。
有料老人ホームの設備には「共用施設」と「専有設備」があります。「共用施設」とは、他の入居者やスタッフと共同で使う場所のことです。共有の設備は、医務室・浴室・レストラン・デイスペース・ランドリー・庭などがあります。「専有設備」とは、自分だけのプライベートスペースのことで、居室がこれにあたります。居室の設備は、ベッド・トイレ・洗面代・収納・エアコンやTVなどで、電話や冷蔵庫がある場合もあります。
また、有料老人ホームの設備は、他にも、温泉仕様の浴場や、理美容室、売店、来客用のスペースや宿泊施設、菜園庭などがあり、老人ホームの規模やタイプにより変わってきます。有料老人ホームの設備にとって、入居者が安全に過ごすことができる「安全性」と、しっかりとサービスの提供ができる「機能性」と、居心地が良い「居住性」が大切です。例えば、手すりや緊急時のコールボタンが、入居者が必要な時に使える場所に設置している必要があります。
よく「特養」と呼ばれているものが「特別養護老人ホーム」です。特別養護老人ホームは、公的福祉施設です。入居できるのは、原則65歳以上で、介護度1以上の人です。自立している人や要介助の人は入居することができません。また、特別養護老人ホームの特徴でもありますが、要介護の状態が認知症や重度の介護度など、緊急性が高い人が優先的に入居することができます。そのため、希望の施設に入居するまで、何年も待たなければならない場合もあります。入居費用については、毎月支払う費用は低額で、入居金は不要です。また、居室はほとんどが4~5人の相部屋です。
それに対し有料老人ホームは、民間施設で、施設によって違いますが、自立している健康な人から要介護の人まで入居が可能です。また、入居するには毎月支払う費用と入居一時金が必要になります。特別養護老人ホームと比べると毎月の費用は高額です。居室はほとんどが個室です。有料老人ホームと特別養護老人ホームの最大の違いは、特別養護老人ホームは要介護者のために、介護をするためにつくられた施設であるのに対し、有料老人ホームは、快適な日常を送るために、介護の他に食事などのさまざまなサービスを提供する施設であることです。
最近は、新規の老人ホームの建設が増えています。新規の老人ホームと既存の老人ホームでは違いがあるようです。
新規の老人ホームは、もちろん新築なので、既存の老人ホームより、施設も設備も新しく、きれいです。最初は入居している人数は多くないので、入居者一人に対し、スタッフがサービス提供できる時間が多く、サービスを普段より手厚く受けられる可能性があります。しかし、開設したばかりなので、スタッフもまだ不慣れで、きちんとしたサービスを提供できない場合が考えられます。また、サービスや雰囲気などの老人ホームの特徴が固まっていないので、見学や体験入居を行った場合、老人ホームの中身を把握しづらいことがあります。新規の老人ホームは、以前からの入居者がいませんので、人間関係は入居者もスタッフも、いちから築きあげることができます。
既存の老人ホームは、以前からの入居者がいますので、入居者同士の人間関係ができています。新しい入居者は、その中に途中から入ることになります。既存の老人ホームのスタッフは、施設や設備をよくわかっているので、サービスがしっかりしています。そのため、体験入居や見学で、老人ホームの雰囲気や特徴をしっかり把握できます。
介護保険制度とは、40歳になると加入しなければならない、強制保険です。65歳以上で介護や介助が必要になった場合や、40から65歳までの間でも、老化が原因とされる16種類の疾患により、要介護や要介助の状態になった場合は介護保険を受けることができます。介護保険制度を受けるためには、被保険者が市区町村に要介護認定を申請しなければなりません。申請は、家族が代行してもできます。その後、市区町村の職員は被保険者の家庭訪問をし、直接聞き取り調査を行います。
介護保険制度には一次判定と二次判定があります。一次判定とは、公平な判断をするために、聞き取り調査の結果をコンピューターで処理し、判定することです。また、コンピューターに盛りこめない情報は特記事項として、記入します。二次判定とは、介護認定審査会による介護認定のことで、収集した情報をもとに、医療・保険・福祉の各分野の専門家で構成された介護認定審査会で、どのくらいの介護度なのかを判断します。
市区町村より、被保険者へ審査の結果、自立なのか、要支援なのか、要介護なのか通知されます。要支援・要介護と認定された場合は、介護保険制度を使うことができます。自立と判断された場合、介護保険制度を使うことはできませんが、市区町村独自の補助などが受けられる場合があります。被保険者は1割の自己負担で介護サービスを受けることができます。