多くの有料老人ホームでの医療ケアは、提携関係や協力関係を結んでいるいくつかの病院により行われています。一般的に提供される医療ケアは、健康相談や定期診断、訪問診察、予防注射、緊急時の対応です。これらの他に、リハビリの提供をしている病院もあります。ここで大切なのは、入居者の必要としている診療科目が病院にあるかどうかです。服用を続けている薬がある人や持病を持っている入居者には重要なことです。入居者に必要な診療科目がない場合はどのように対応してくれるのか、確認が必要です。
入院や通院の時の医療ケアは、有料老人ホームごとにさまざまです。入院した場合の月額利用料や居室利用権について、通院時の付き添いや入院中の生活サービスについてや費用についてなど、細かい対応については、重要項目説明書に記載されているので、確認が必要です。また、日常的に医療行為が必要な場合、医療行為ができる医師や看護師が、有料老人ホームに常駐し、医療ケアが出来る体制の有料老人ホームのみ、受け入れが可能です。医療行為とは、インシュリン投与や透析、胃などに直接栄養を流し込む経管栄養、たんの吸引、在宅酸素などです。
最近では、24時間看護師が常駐している有料老人ホームや医療機関が併設されている有料老人ホームもあります。夜間の医療ケアが必要ない入居者の場合は、看護師が日中のみ常駐の有料老人ホームでも可能な場合があります。医療ケアが必要な入居者は、具体的な対応方法や、医療ケアの経験についてなど、詳しく確認することが大切です。
要介護認定を受け要介護者になると、介護保険を受けることができます。有料老人ホームで介護保険を利用する場合、有料老人ホームの種類によって、介護保険の利用形態が違います。
●介護付有料老人ホームの一般型
介護付有料老人ホームの一般型では、施設内で要介護度に応じて、介護サービス計画を立て、食事・入浴・排泄介助などの介護サービスを提供します。費用は日額制で、要介護度によって金額が異なります。さらに、施設によっては、スタッフの人数を介護保険の基準より多くし、上乗せ介護料などを請求する所もあります。よって、介護保険適用は、日額分のみ一割自己負担になり、その他の上乗せ介護料などは全額自己負担となります。
●介護付有料老人ホームの外部サービス利用型
介護付有料老人ホームの外部サービス利用型は、施設のスタッフが要介護度に応じて介護サービスの計画・管理をし、施設が契約している外部の施設が介護サービスを提供します。費用は、日額制の基本部分と、利用した外部サービスの分量を支払う出来高制にわかれており、両方とも介護保険適用です。しかし、一ヶ月あたりの利用限度額が決められていますので、その限度額を超えた分は全額自己負担となります。
●住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームでは、入居者が要介護の状態になった場合、外部から介護サービスを受けます。この場合、費用は介護サービスを利用した分だけ支払う出来高制のみになり、一ヶ月あたりの利用限度額が決められています。介護付有料老人ホームの外部サービス利用型と同じく、利用限度額を超えた部分は、介護保険適用外となり、全額自己負担になります。また、一般的に利用限度額が決められている場合、一ヶ月のサービスの利用額は、限度額内におさまるように利用します。
有料老人ホームによっては、介護保険外のサービスを提供し、別料金で請求している場合があります。トラブルになる前に、確認する必要があります。
有料老人ホームによっては利用可能期間が限られる場合があります。利用可能期間は、入居条件と退去条件から成り立っています。健康型有料老人ホームは入居条件が健康な自立している人で、退去条件が要介護や要支援になった時点なので、利用可能期間は健康で、自立している期間になります。しかし、同施設内や提携で介護付有料老人ホームがある場合、転居できることもあります。また、介護付有料老人ホームの介護専門型は、要介護・要支援の人のみが利用可能となっていますが、退去の条件はとくにありません。さらに、介護付有料老人ホームの混合型や住宅型有料老人ホームについては、施設によっては少し異なりますが、自立している人から要介護の人まで利用可能です。
有料老人ホームの3種類の中で、入居時と退去時の条件が明確になっているのは、健康型有料老人ホームのみですが、有料老人ホームの種類の他でも、施設の設備や医療体制、提携している医療機関の協力の度合いにより、いろいろな条件が細かく定められています。実際には、「病院への入院期間が長期にわたる場合」「認知症が重症化してきたとき」「気管切開など、医療行為の必要度が上がった場合」「共同生活の秩序を乱した場合」などさまざまです。有料老人ホームの利用可能期間は、有料老人ホームの種類による条件と施設の設備や医療体制、提携医療機関の協力度による条件などが組み合わされることで、ある程度想定できるようです。
希望に合った有料老人ホームを見つけても、すぐに入居ができない場合もあります。希望の入居時期に有料老人ホームへ入居するためにも、早めに情報収集をする必要があります。有料老人ホームの入居条件の中に、対象年齢が設定されています。施設によって違いますが、一般的に、60歳以上や65歳以上に設定されています。実際には、70~75歳くらいが理想のようです。
有料老人ホームへの入居は情報収集や、見学・入居体験など自分に合った有料老人ホームを探したり、理想の施設が見つかったら、契約について話し合ったり、いろいろな書類をまとめたり、大変な作業です。さらに、引越しなど体力のいる作業もあります。また、今までの生活から、有料老人ホームでの集団生活に環境が変化するすことは、精神的に負担になることがあります。体力や気力のある70~75歳くらいまでに入居する有料老人ホームを決めておけると良いでしょう。
有料老人ホームを探し始めてから、希望に合った有料老人ホームを見つけるまでに、入居希望者が要介護状態となり、突然入居が必要になる場合もあります。将来的に有料老人ホームへの入居を希望している人は、入居したい時期に入居できるよう、早めに行動しましょう。
有料老人ホームでの生活スタイルは施設によってかなりの違いがあります。今までの自分の生活スタイルと、これから入ろうとしている有料老人ホームの生活スタイルを比較し、自分に合っているかどうか考えてみましょう。有料老人ホームのおおまかな1日の流れは、起床→食堂で朝食→自由時間とレクリエーション→食堂で昼食→自由時間とレクリエーション→食堂で夕食→自由時間→就寝です。入浴は一日を通して順番に入ります。また、排泄介助は呼ばれたときと、起床後や入浴前など時間を決めて行います。有料老人ホームでの生活はほとんどが、集団生活ですが、個人の意思の尊重を優先にしている施設が多いようです。
有料老人ホームでの生活で、レクリエーションは、多くの有料老人ホームで午前と午後に1回づつ行われます。レクリエーションを始める前に入居者全員に声をかけますが、参加したくない人には、無理強いはしないホームが多いようです。また、定期的にイベントを催したり、趣味サークル活動を行っている有料老人ホームもあります。外出についても、自立している人は、自由に散歩や買い物など外出ができますし、介護が必要な人も、スタッフが付き添いで、外出が可能です。有料老人ホームの生活のが負担にならないように、自分の生活スタイルを変えていく必要はあります。
有料老人ホームは、ほとんどが民間運営です。特別養護老人ホームなどのような公的機関ではないので、経営不振や倒産の危険性があります。経営状況を知ってもらうために、貸借対照表や損益計算書などの財務諸表や決算書をすすんで開示している有料老人ホームもあります。これは、大きな指標となり、とても重要なことですので、確認が必要です。また、現在運営中の有料老人ホームでは、入居率がどのくらいかも重要です。
有料老人ホームの運営について、経営体質も大切です。過去のトラブルや有料老人ホームでは応えることのできないニーズなどを実際の例や数値を挙げて説明をしている有料老人ホームは信頼がおけると思います。また、有料老人ホームの入居者が直接不満を伝えられる場を設けたり、家族との懇談会などを定期的に催していることも大切です。遠方の家族のために、「便り」を出している有料老人ホームもあり、入居をする前だけでなく、入居後にもしっかりと情報を提供している有料老人ホームは運営にも信頼が持てます。
有料老人ホームの雰囲気やスタッフの態度、電話対応や説明の仕方などに施設の経営者の理念などが、出てきます。見学に行ったときなどに、注意して見てみましょう。有料老人ホームの運営について、少しでもわからないことや不安があれば、遠慮なく質問しましょう。
有料老人ホームのサービスで、いちばん重要なのは、介護サービスです。介護サービスは、有料老人ホームの種類によって体制が異なります。
●介護付有料老人ホームの一般型
介護付有料老人ホームの一般型は、介護スタッフが24時間常駐し、スタッフの人数は、要介護者3人に対し介護スタッフ1人以上が基準です。施設によっては、手厚い介護のために、介護スタッフ1人以上に対し要介護者2~1.5人という場合もありますが、上乗せサービスとなり、追加料金が発生します。
●介護付有料老人ホームの外部サービス利用型
介護付有料老人ホームの外部サービス利用型は、ケアプランや日常の健康安否は施設のスタッフが行いますが、介護や支援自体は有料老人ホームが提携している外部の介護サービス事業者が行います。よって、夜間体制や、急に介護が必要になった場合の対処を確認する必要があります。
●住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、施設自体に介護サービスはありません。介護サービスを受ける場合、入居者個人が外部の介護サービス事業者と契約する必要があります。しかし、実際は、施設内などに提携している介護サービス事業者があり、そこから、サービスを受ける場合が多いようです。この場合も、緊急時や夜間の対応を確認しておく必要があります。
また、その他のサービスは、食事サービスでは、食事は食堂で食べるか、固さ・味・量などの調節は可能か、介護食への対応などの確認が必要です。入浴サービスでは、個人浴か共同浴か、入浴システムについて、いちばん需要なのは、入浴回数です。毎日できるのか、週何回と決まっているのか確認しましょう。レクリエーションや趣味サークル活動はどのように行ってるか、認知症のケアはどのようにしているか、リハビリの体制はどのようになっているかなど、有料老人ホームのサービスには、他にもいろいろあります。施設によって、内容や力を入れているサービスが異なりますので、しっかりと確認しましょう。
有料老人ホームの立地条件はとても重要です。有料老人ホームに入居後、1日中施設で過ごさなければならないわけではありません。自立した人は自由に散歩や買い物に行くことができますし、要支援や要介護の人も、家族や有料老人ホームのスタッフと一緒に外出することができます。有料老人ホームの理想の立地条件は、入居者ごとに違います。自然がたくさんあるところが良いという人がいれば、繁華街のにぎやかなところが好きという人もいます。入居者の気持ちを考えて選ぶ必要があります。
また、有料老人ホームの立地条件として、近くに家族の住まいがあるかないかは、大切です。家族の住まいが近い場合は、頻繁に入居者に会いに来ることができ、入居者本人も安心します。しかし、家族の住まいが遠い場合は、頻繁に訪問することが難しくなります。その他にも、散歩しやすい公園などがあるか、ちょっとした買い物に適したお店が近所にあるか、娯楽施設は周辺にあるか、有料老人ホームの周辺の雰囲気はどうか、など、チェックが必要です。また、周りの道路の交通量や歩きやすさ、歩道の有無、歩道の幅、車椅子でも歩行可能かなどの確認も必要です。また、入居者にとって、有料老人ホームの立地に対し不都合なことがある場合、それに対し施設側が対処している場合があるので、確認してみましょう。