有料老人ホームの費用は、おおまかに「居住に関する費用」「生活のための費用」「介護・医療の費用」「その他の費用」などがあります。これらを「入居金・入居一時金」や「月額利用料」、「その他の費用」などに分かれた料金体系に分類され、支払うシステムになります。
有料老人ホームへ入居する時に最初に支払うことになる、入居金・入居一時金に含まれる費用は、ホームへの入居保証金、終身利用権、前払い分の施設利用料、介護一時金、入会金や施設協力金があります。入居金・入居一時金には、途中退去した場合、返金される部分と返金されない部分があります。また、施設によっては、入居金・入居一時金が0円というところもあります。しかし、その場合は毎月支払う費用に上乗せする形となり、毎月支払う費用の負担額が増えるのが一般的です。
毎月かかる費用には、居住費や管理費、食費などの月額利用料や、要介護と認定された場合は、介護サービス費が含まれる場合もあります。その他にも、追加サービス料や個別契約サービス料、通院や入院の医療関連費、オムツなどの介護用品費、趣味活動費、日用品代や電話代などが利用状況により徴収されます。有料老人ホームの費用は、入居金・入居一時金と毎月支払う費用にどのように振り分けて支払うようになるかは、施設によって、さまざまです。
入居一時金とは、有料老人ホームへ入居するために支払う費用のことです。入居一時金は、施設によって変わってきますが、入居申込金や施設協力金などの居住権に関係のないものと終身利用権や前払い分の施設利用料などの居住権に関するものに分類されます。施設協力金とは、有料老人ホームの設備導入や維持管理に関する費用です。また、終身利用権とは、所有権のことではなく、入居している間は施設を利用できる権利のことです。
介護付有料老人ホームでは、入居一時金に介護一時金が含まれる場合があります。要介護者は介護保険により、一割負担で介護が受けられますが、介護一時金は、それとは別に介護保険適用外でかかる費用を前払い分で徴収している場合が多いようです。入居一時金には、途中で退去する場合などに、返金される部分と返金できない部分があります。居住権に関係のない入居申込金や施設協力金は、返金されません。居住権に関係する終身利用権や前払い分の施設利用料や介護一時金は償却期間内に途中退去した場合、規定の計算により算出された金額が返金されます。
入居一時金の料金は、有料老人ホームによって違いますが、数十万~数千万円とさまざまで、中には0円という施設もあります。また、償却期間があり、数年~20年くらいが一般的です。償却期間が過ぎた場合、毎月の支払を行っていれば有料老人ホームに住み続けることはできますが、施設によっては新しく契約が必要な場合があります。
毎月かかる費用に含まれる項目は、居住費、管理費、食費、水道光熱費などの月額利用料や、介護サービス費などです。居住費は、入居一時金で終身相当までの全額を支払っていない限り、毎月の支払いに含まれます。管理費は、有料老人ホームの共有部分の維持費や施設のスタッフの人件費・事務費などが含まれ、利用した分ではなく、定額制が一般的です。また、施設によって、管理費に含まれる項目はさまざまです。有料老人ホームに確認する必要があります。
食費の料金の単位は、一食ごとから一ヶ月まとめてまでさまざまです。また、実際に食べなかった食事でも、期限までに申告できなかた場合は請求されることがあります。有料老人ホームによっては、食堂の厨房の維持費や人件費を含む場合もあります。水道光熱費は、管理費に含まれることが多いようです。管理費に含まれない場合は、定額制なのか、利用した分を請求されるのか、確認が必要です。
要介護認定を受け、介護サービスを受けている場合、介護サービス費がかかります。介護保険適用内は一割の自己負担です。介護付有料老人ホームの上乗せサービス料や、住宅型有料老人ホームで一ヶ月の介護保険利用限度額を超えた分の料金などの、介護保険適用外の部分は全額自己負担になります。毎月かかる費用に含まれる項目に基準はありません。有料老人ホームごとに含む、含まないの差がありますので、充分に確認する必要があります。
入居一時金や毎月かかる費用の他にも必要な費用があります。追加サービス料や個別契約サービス料、医療関連費、介護用品費、趣味活動費、日用品代や電話代などその他いろいろな費用がかかります。
追加サービス料とは、入浴回数を増やすなど、基本のサービスを上回るサービスを提供したときに発生します。基本サービスだと思っていたものでも、追加サービス扱いになる項目があります。基本のサービスがどれくらいなのか、把握しておく必要があります。個別契約サービス料とは、介護保険の対象外のサービスを個別契約して提供してもらったときに発生する料金です。例えば、買い物の代行や通院の送迎などです。ほとんどの有料老人ホームではサービスの一覧表が作成されています。料金設定など、ホームごとに異なるので、内容を確認してみましょう。
その他にも、病院への通院に伴う診療費や薬代などの医療関連費、おむつなどの介護用品費、趣味やサークルへの参加費や材料費などの趣味活動費、有料老人ホームで生活する上で消耗する日用品代や電話代など、利用した分を後から支払うようになります。施設によっては、月額利用料に含む場合もあります。入居者が有料老人ホームでどのような生活を送りたいかによって、費用も変わってきます。追加で加算される料金も含め、毎月かかる費用を考える必要があります。
有料老人ホームへ入居するためには、高額な資金が必要になります。自分にどのくらいの財産があるか、また、有料老人ホームのために、どれだけ使えるか資金計画をたてることは、とても大切です。資金計画は、まず、自分の資産や財産の把握をします。家や土地などの不動産の売却金や預貯金の総額資産から、家族への相続分と、入院や介護費などの臨時費用を差し引いた残りの金額が、入居一時金に充てられる資金になります。
資金計画で忘れてはならないのは、毎月かかる費用です。入居一時金は用意できても、毎月の支払いができなければ、入居はできません。毎月かかる費用は、月額利用料だけでなく、その他にも別途かかる費用も考える必要があります。年金や、家族からの援助金などから、毎月支払うことのできる限度額を算出します。また、入居一時金に充てられる資金から、実際に入居一時金を支払い、残金が発生すれば、臨時の費用や毎月の支払いに充てることができます。
余裕のある資金計画を立てるには、有料老人ホームへの入居期間を予測することも大切です。平均余命を算出し、どのくらいの期間有料老人ホームへ住むことになるのか把握すると安心です。また、認知症の進行による退去など考えられるリスクを想定した資金計画をたてることも重要です。
有料老人ホームへの入居一時金には、償却期間と初期償却費があります。入居一時金には、施設利用権や前払い分の施設使用料などに相当する金額をある一定の期間で均等に振り分け、月々や年ごとの支払いに付け足して消費していく、償却期間があります。償却期間は、有料老人ホームによって、数年から数十年までさまざまです。一般的には、自立している人ほど、償却期間が長く設定されています。償却期間内に有料老人ホームから退去する場合、未償却分の入居一時金が、規定の計算方法で算出され、返金されます。これを返還金制度といいます。
また、償却の方法は、月々で償却していく方法や、1年ごとに償却する方法の他にも、不定期に償却される方法など、施設によって異なります。償却方法によっては、退去する日が1日違うだけで、返金額が大幅に変わることがあるので、注意が必要です。さらに、入居一時金には、初期償却費があります。初期償却費は有料老人ホームへ契約・入居した時点で入居一時金の一部が償却され、返金することはできません。初期償却の割合は、ホームによって違いますが、2割~3割に設定されているところが多いようです。入居一時金が安い場合、初期償却費が10割に設定されているところがあります。また、初期償却の割合が低くても、入居申込金などの、もともと返金されない部分の金額が高い場合もあります。
償却期間や償却方法、償却期間内の退去時の返金額の計算方法、初期償却費の割合など、有料老人ホームによって、異なりますので確認が必要です。
クーリングオフとは、契約してから90日以内に契約を解除した場合、入居一時金は居住期間の利用料などを除いた全額を返還するという制度です。有料老人ホームへ入居した時点で、入居一時金は初期償却され、早期に退去した場合、入居者に負担が増えてしまう可能性がありますので、しっかり確認しておきましょう。クーリングオフで注意したいのは、都道府県によって、クーリングオフの対象となる入居一時金の範囲が異なることです。
入居一時金には、一般的に返金されない入居申込金や施設協力金、返還金制度の対象の終身利用権や前払い分の施設利用料、要介護の場合は介護一時金などが含まれます。クーリングオフの対象を入居一時金全額対象としているところや、返還金制度適用の終身利用権や前払い分の施設利用料、介護一時金などのみを対象としているなど、都道府県によって異なってきますので、クーリングオフの対象となる範囲を確認しておく必要があります。
また、クーリングオフにより、契約を解約した場合、入居していた間の施設利用料などを除いた全額が返還されますが、入居一時金のクーリングオフ対象額から差し引かれる金額の計算方法は有料老人ホームによって異なります。さらに、クーリングオフは入居契約書に明示していなければ、適用にならない場合があります。入居契約書を前もって入手し、クーリングオフの内容がしっかり明示されているか、必ず確認しましょう。